俺は勇者じゃないはずだ

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 …あんぐり。  春から、魔王であるアツシの城へ研修に入ると、掲示板に人事異動が貼り出されていた。  大魔王アツシ・ツラ・ノーカワ  ああ、大がついちゃったのね。あとはハクションがつかないことを家族みんなで祈りましょうか。  大魔王秘書レッドブル・ツバサ・サーツケル  まあ、同姓同名なんてよくある…わけはない。 「秘書、俺かー!!」 「そのとーり!!」 「誰!? ピアノ売ってほしい人!?」  見た目はパーマネントのオバチャンだ、なんか古びた箒を持ってますけど跨がって飛ぶより普通に掃除道具にしか見えません。 「アタシはモモタ・ロウ・ザムラーイ。あだ名はピンクだよ。お気軽にピンクと呼びなさい」 「ぴ、ピンクは掃除のオバチャンですか」 「ええ、定年したからボブディランしてるのよ」 「…それは、もしかして、ボランティアですか」 「ボランティアよ。言ったでしょ」  いいえ、若干、歌手みたいに聞こえはしました。  きっと気のせいですね。
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