俺は勇者じゃないと思う

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 この魔法界には魔王がいて、なんか世界最強らしい。  最強ならコントロールはいらないのかよ、と素人ばりの失敗をやらかした陥没を思いながら学校に向かう。  後ろから、やはりオッチャンを振り切ってきたらしい男子が駆け寄ってきた。 「君も勇者って言われなかった!?」 「言われました」  先を急ごうぜ、学校行かないと魔法学べないし。  魔法使用ライセンス取らないと将来の生活に困るし。 「じゃあ一緒に行くんだね! 一人じゃ嫌だなって思って追いかけちゃった!」  …なんでだ。 「陥没なんて、穴があったら入りたい人のためにあけておけ」 「だって勇者だよ! なんか格好いい!」  この、天然お気楽ボーイめ。 「お前な。魔王っつーからには最強なんだぞ。まだ魔法ライセンスも取れてねえヒヨッコに勝てるかっつーの」 「ええっ! 勝つ気でいるの!? すごい勇者だ!!」 「人の話を理解しろ」 「だって魔王に道を直してねってお願いに行くだけでしょ? なんで戦うの?」 「…それもそうだねー」  いやあ、俺様が間違ってましたよ。
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