俺は勇者じゃないと思う

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「はいはい、いらっしゃいませー」  強欲な商人みたいな顔をしたイケメン門番が出てきてしまった。 「あのう、俺の通学路を魔王が大穴あけてくれたんで修繕費用ください」 「なに? 俺の通学路でマナティーがレースしたら大穴当てちゃったの!?」 「それなら金くれ言わねえ。しっかりー」 「お願いします! 魔王に会わせてください!!」 「おお、言うこと勇者だねー、帰って寝ようねーボク」 「じゃ、直訴状だけ書いてきたんで。一応形だけ受け取ってくれたら」  イケメン門番、やけに俺を見ている。  あ、穴があったら入りたいわ、俺が。 「んー…、魔王の好みドンピシャだねー」 「いらねえ、そんなドンピシャ」 「一名様、ごあんなーい」 「ええー!? ボクの出番もう終わりなの!! 名前もちゃんとあるのにー」 「じゃあ俺と代われ!! 俺が帰る!!」 「そうはいかないよーん」  ついに、魔王と対面することになってしまったようだ。
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