俺は勇者じゃないと思う

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「くそう、なんで人生ってこんなうまくいかないんだ」 「頭がたかーい、控えおろーう!!」  ははー、と形だけ例のポーズを決める。 「よく来たな勇者よ」  うん? 声は何か普通の魔王っぽくね?  こっそり顔をあげると、超絶イケメンが黒いマントに身を包み、威厳たっぷりに玉座に座っている。 「あ、すいません、何回も言うようですが、道に大穴あけたのあなたですよね? 修繕費用ください」 「いいけど、代わりに愛人になるかい?」 「ならないです。修繕費ください」 「なるよね?」 「ならないです」  ドカーん、と玉座の前にある階段みたいのがぶっ飛んだ。 「なるよねー?」 「ならないです。城は自分で直してください」 「勇者だな…」 「おかげさまで」
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