第七章:束の間の幸せ・後

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「フェミニストだよね、尚斗くんて」  からかい半分に、くすくすと笑ってしまう。 尚斗は、くしゃっと髪をかきまぜた。 「っていうか。 姉貴の口ぐせがさ、男は女より腕力が圧倒的に勝るんだから、女に手をあげる男はクズだーって。 もう、小さい頃から散々言われ続けててさ。 でも、何かことあるごとに叩かれてきたのは、オレのほうなんだよね」  尚斗の話に、彼の姉の顔が思い浮かぶようだった。 きっと、快活で明るい人柄だろう。 尚斗は姉の一言ひとことを、いちいち素直に聞く子供だったに違いない。
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