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第七章:束の間の幸せ・後
2.
「───そんなヤな奴がいるの?」
尚斗との学校帰り。
昼間は残暑が厳しいが、さすがに夕方も六時を過ぎると、だいぶ涼しくなってきていた。
冗談まじりに話した亜矢香のことを、尚斗は必要以上に拒否反応を示した。
露骨に顔をしかめ、さらに言葉をつなぐ。
「もし、またそういうヒドイことするようだったら、オレに言ってよ。
文句言ってやるから」
そう言うと、情けなさそうに、肩を落とす。
「…男だったら、ぶん殴ってやるんだけどなー。
女じゃ、そういうわけにもいかないし……」
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