ある日の帰り道

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「寝ちゃったみたいね」  俺の隣に座るアスカが微笑みながら言った。 「ああ。ずいぶんはしゃいでたからな。まったく、お姉ちゃんがそれじゃあダメだろうに」  俺の膝の上で気持ち良さそうに寝息を立てるユノアを見てると、この後の事とかはどうでも良くなってくる。 「でも、ユノアちゃんのおかげでユウカにも友達ができたじゃない」 「そこはさすがお姉ちゃんって感じだよな。ユウカが混ざりやすいように遊んでくれたみたいだし」  俺とアスカの視線の先には仲良くなった子どもたちと一緒に遊ぶユウカの姿がある。まだ表情は固いが。それでも、一端の子どもらしく元気に走り回ってる。  嬉しい限りだ。  でも、そろそろ帰らないとな。このままここにいたらユノアが風邪を引いちまう。 「さてと、アスカ、そろそろ帰ろうぜ?」 「いいわよ。あ、荷物はウチが持ったげる」 「おう。ありがと。おーい、ユウカ。そろそろ帰るぞー」  ユノアを起こさない程度に声を張り上げてユウカを呼ぶ。  もうちょっと遊んでいたいのか、なかなか来ない。だけど、一緒に遊んでる子たちから何か言われたのか、やっとユウカが戻ってきた。不機嫌な顔してると思ったが、なぜかユウカは小さくだが笑顔を浮かべていた。 「ユウカ、良い事があったか?」 「……うん。また、遊ぼうって」  照れたようにユウカがはにかむ。その姿を見て、俺とアスカは笑いあった。 「そっか。それじゃあ、また来なきゃね」  アスカがユウカを手を繋いで歩き始める。  ユノアを起こさないように背中に背負い直し、俺もアスカたちの後を追う。  アスカたちに追いつくと、ユウカが不安そうな顔をしながら俺のズボンを掴んだ。どうしたんだろうと思っていると、おずおずとユウカが口を開いた。 「……パパも、繋ごう」 「……ああ、いいよ」  背中のユノアが落ちないように支えながらユウカの手を握る。すると、よほど嬉しいのかユウカが今日一番の笑顔を見せた。  仲良く家路を辿っていると、聞き覚えのある音楽が耳に届いてきた。  気分がいいのか、ユウカが音楽に合わせて小さく歌い始めた。 「……ゆうやーけこやけーでひがくーれーてー」 「山のーお寺ーの、鐘がーなーるー」  それに合わせて、アスカも歌い始めた。楽しそうに歌う二人につられて、俺も一緒に歌う。  俺たちの家路には三人の歌声が響いていた。
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