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俺が学級委員長に任命された当日。コミュニケーション能力が豊富な西尾がさっそく話しかけてくる。
「えっと、音……なんだっけ?」
「……音無」
「そーだ音無だ!これからよろしくね」
「何を」
「は? 学級委員だよ。私ら同じ委員会じゃん」
「あー、まぁそうだね。じゃっ」
ここで帰ろうとしたのは若干失礼な気もするが仕方ないだろう。
明らかに西尾はビッチなのだ。金髪に染めてて、制服を着崩している。
というかそれを差し引いても、西尾が俺に変な期待を持たせてオモチャにしようとしてたのが見え見えだったんだ。
俺は童貞だから、人の心を弄ぶ行為が許せないのです。
「……。あ、そうだ! 音無ってさ、今日ヒマ?」
「超忙しい」
「なんかあんの?」
「いや? 特に何もないよ?」
「は? じゃあ何が忙しいわけ?」
「それが思いつかなかったから正直な事を吐露したんだよ」
「なにそれ意味不なんだけど。何? 何で私を避けようとするわけ?」
「可愛いから……かな?」
「は、キモ。てかせっかく人が親睦を深めようとしてんのに何その態度」
「……っざいなぁ」
「今うざいって言った?」
「言ってない」
「……いつも黙ってるから何考えてるか分かんない陰キャラだったけど、話してみて印象が出来たわ。なんかあんた、ウザいね」
「おうそうだろ。だからもう俺なんかほっといて帰「じゃ、カラオケ行こっか」……は?」
これが西尾とのファーストコンタクト。西尾は電車で登下校しているようで、その後強引に二人乗りをさせられ、地元のカラオケ店に夜遅くまで付き合わされる事となった。
西尾はヒットしてる、もしくはしてた曲を歌うが、俺は構わずアニソンを熱唱する。
電波曲ばっかり歌って気持ち悪がられる筈だったのに西尾は合いの手を入れたり歌上手い等の褒め言葉。
俺は心底西尾が気持ち悪いと思った。
帰りは西尾を後ろに乗せ駅まで走る。
他人視点で見たらきっとリア充爆ぜろとか濃度薄めの粒子になれ的な呪詛を高速詠唱するだろうな絵面になってたのは確かだろう。二人乗りに夢見た頃もあったがまさか、死にたくなるような心境で夢を実現するとは思わなかった。
そんなこんなで、俺は度々、この女と一緒に帰らされているのだ。
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