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遠藤くんの彼女になった次の日。
まだ自分では全く実感がなくて年末の
大掃除を手伝っていた。
「お母さん、窓とトイレは終わったよ。
後どこしようか?床のワックスはまだだよね?」
「じゃあ納屋の整理お願いしていい?
それが終わったら床お願いね。」
納屋かぁ~。
埃が多そうだったから頭巾を被りマスク
をして納屋に入った。
うわっ。
お母さん、これは私一人では無理だわー。
「お母さんー、納屋沢山物がありすぎ。
一人では無理だよ~。」
「じゃあ、愛菜のものだけでも整理して、
要らないものは思い切って捨てなさい。」
「はーい。」
私の物と言っても、と思いつつ辺りを
見回すと私のスキー板とスノボ板が見えた。
その辺りに愛菜と書いた箱が何箱かあった。
気になって一番上の箱を開ける。
っ!!!
目に飛び込んで来たのは前彼の優くんの
写真。
切なそうにカメラに目線を送っている。
当時の気持ちが思考に入って来て
悲しくなる。
あの頃一途に優くんを好きだった…。
今は優くんの顔さえ思い出せないのに
苦しかった気持ちは鮮明に思い出せる
なんて……。
す、捨てなくっちゃ…。
お母さんに見つからない様に裏の広場に
行き写真に火を付けた。
キューッと黒く灰になっていく写真を
見ていると涙が溢れた。
女の人関係でゴタつき、そのまま別れて
長い間引きずっていた想いに
涙と一緒にサヨナラを告げた。
私には遠藤くんがいる。
遠藤くんの優しい笑顔を想い浮かべて
涙を拭いた。
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