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truth
仕事が終わり、友人と食事を済ませて帰って来るとインターホンがなった。
「はーい。」
返事がない。
まさか…ゼル?
本当にあれからゼルは私の前から姿を消して…部屋にも現れなくなった。
躊躇いもなく玄関のドアを開けた。
「天音っ!」
「淳…」
部屋に無理やり押し入って来たのは淳だった。
「ちょっと、勝手に入らないで!!」
「お邪魔しまーす。」
見知らぬ男が淳の後ろから続けて入って来る。
「えっ?ちょっと誰?何?」
淳が私の腕を掴む。
「天音姫、この前はどうやって俺をあんな場所に飛ばしたんだ?せっかくあれから良い気持ちにしてやろうと思ったのによ!!」
淳に突き飛ばされた。
「本当に綺麗なお姉さんじゃん。お前本当に付き合ってたの?」
見知らぬ男が私の両手首を掴む。
「いやっ、離して!」
「天音はなー、ドS気取ったお姫様なんだよなー。」
「っ!」
淳が私の上に覆いかぶさる。
「いやっ!淳、やめて!!」
「この前の続き、ちゃんとしようぜ、姫。」
そんな…、淳がこんな人だったなんて…。
怖いっ!!
「俺、あれから大変だったんだぜ。警察に確認の電話させたら、天音酷いよな、俺が来てないとか言いやがって。」
見知らぬ男が高い声で笑い出した。
「俺、あの日お前の弟のくっだらねー引きこもりが家出した話聞いてやったよな?」
「酷い…淳…」
淳が私のシャツのボタンを無理やり引きちぎる。
「いやぁ!!」
「酷いのはどっちだろうなー、姫?俺の事奴隷みてーに扱いやがって…、本当に俺がお前の従順な犬だと思ったのか?」
情けなくて、悔しくて涙が溢れる。
「へへっ、俺ならお姉さんの犬になってもいいぜー!!」
「いやっ、離して!!いやーっ!!」
『アマネ…助けてあげようか?』
心に聞き覚えのあるコカの声が響いた。
「コカっ!助けてっ!!」
「は?」
淳が訝しむ。
「誰かいんの?」
男が他の部屋を覗きに行った。
『ごめん、アマネ。僕は行けないんだ…』
そんな…!
じゃあどうしたら…!!
『ねぇ、アマネ…誰に助けに来てもらいたい?アマネが心から助けに来て欲しい人の名前を呼んでごらん…但し、その部屋に入れる悪魔は…』
そんな…コカ…酷いよ…。
意地悪しないで助けに来て…お願いっ!!
『じゃあ、アマネは僕を選ぶの?』
えっ…?
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