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見た目はこげ茶色のショートヘアの目鼻立ち整った正装の端正な大柄な女性である。ベルの背筋は若干の恐怖と楽しみでゾクゾクしていた。
「席に着け。今から入学に際してのガイダンスを開始する」
軍人のような強い口調で生徒たちを威嚇し座らせ、人数を確認する。
「よし、全員居るな。私の名前はスカーレット=ローレン三尉。以後、私を呼ぶときはローレン三尉と呼ぶように異論は受け付けん」
生徒たちの間にも戦慄が走る。恐らく、今まで通ってきた学校とは空気が違うのだろう。
「まずは1枚の紙を配る。これは選択授業決定用紙だ。各々この後各課の授業を見学したのち始業式までに記入を終え私に渡すように」
スカーレットは簡潔に淡々と物事を進めていく。ベルのところまで紙が回ってくると、ベルは早速紙を読む。周りの生徒もどこの課にきめようかとの相談でざわざわし始める
ネーブル軍事学園の授業形式は基本、必須授業と選択授業で生徒のニーズに合わせた授業を生徒自身が自由に決めることができる。必須授業とはつまり座学のことで、数学や国語、歴史などがそれにあたる。逆に選択授業は、近接戦闘課、遠距離戦闘課、魔法支援戦闘課の3つに分かれており、その中でも何個かの科にわかれていてその中から決めることができる。
実際ベルは刀しか扱ったことがないので自ずと近距離戦闘課になるのだろうが、他の生徒たちの中には一度も武器に触ったことのない生徒のための3日なのだろうとベルは察した。
どの授業にするか周りが少しざわざわしてくるとスカーレットは眉間にしわを寄せる。
「おい、貴様等。次、私の許可なしに開口してみろこのサーベルの錆にしてやる」
スカーレットはサーベルの柄に手をやりながら全員を睨む。ほぼ全員が動きの止まり、一斉に押し黙った。今の脅しにはさすがのベルも冷や汗をかかざるをえない。殺気を敏感に感じ取れない彼らはある意味で幸せなのかもしれないとすらベルは感じていた。
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