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ベルはくるりと後ろを向き馬車を後にする。改めて巨大な校舎を見てこれからここに通うのだと思うと緊張よりもさきに好奇心が勝る。ベルは一瞬、微笑を浮かべるとそのまま校舎に向かった。
ベルは校門で学校職員に荷物を預け体育館に向かい数時間後、何事もなく入学式が終わるとベルを含めた生徒たちは先ほどの学校職員に渡された資料の中に入っていた紙に指示された教室に向かう。ベルはどうやら1-Cに向かえばいいらしい。
ベルは入学式の間、ずっとこの講堂の観察をしていた。それほど興味深い作りだったのである。壁一つとっても一見お洒落な柄に見えるがそれだけではないのである。これは何重ものシステムを構築した強固な防御魔方陣であり、恐らく宮殿魔導士パレスウィザードを十人集めて総攻撃させても壊れないだろう。他にもところどころに埋めている違う色の宝玉によって七属性すべてに対応した防御展開が可能であることなど随所随所にこだわりを感じた。
講堂を出て廊下に出てもその紋章はずっと続いている。ここまで膨大なシステムをみると自分、つまるところ傭兵からすればまるでこの学校自体が一つの要塞であると言っているようなものである。
しかし、こんなにも厳重に魔方陣を敷くのは無理もないと言えば無理もないのかもしれない。何故ならこの学校には要人の息子や娘が普通に学びに来るのである。テロ組織からしたらこんな美味しい場所はない。さらに政治的に考えてももしかしたら本当にここは『要塞』なのかもしれない。祖国、ヴァイシャ=エスペインと西の大国ウェステインに挟まれ、さらに北にはライオグラッド国もある。
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