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「じゃ、じゃあ、ベルはどこから来たの」
カイトは少しばかり気圧され自然にどもってしまう。ベルはそんなカイトの様子を気にも留めず淡々と話す。
「ヴァイシャ=エスペインだ。お前の出身地は、ウェステイン、しかもお前の父親は帝国貴族と見た」
カイトは自分の住んでいる国、さらに自分の父親の身分を一発で言い当てられ驚きを隠せなかった。
「どうしてわかったの!?」
ベルは鼻をフッと鳴らす。
「バルティ語のアクセントだ。このご時世、貴族のようなきれいなバルティ語を使えるやつは王宮の召使いか帝国貴族の息子だ。違うか?」
カイトはこの一言を聞きなんとなくベルがただものでないことがわかり、さらにいうならば、この学園にはただものなどいないのだと改めて実感した。
カイトもまたそうベルに言われ彼のバルティ語のアクセントを思い出す。
「そう言うベルも綺麗なバルティ語だよね」
ベルはまた鼻を鳴らし、少し呆れたような仕草を取りながら背もたれにさらに自分の体重を預ける。
「世辞はよせ。俺のなんか汚ねぇアクセントのはずだ。お前さては俺よりも世間知らずだな?」
ベルはハハッと乾いた笑い声をあげ、それにあわしてカイトも笑ったところでガラガラというドアの空いた音がし、前方の生徒たちが静まるのと同時にベルは今までに感じた殺気の中では上位の殺気を感じ教壇に上がっていく人物を見る。
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