プロローグ

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いつもと変わらない朝。 僕、生島裕太郎は刑事になって早五年になる。 それまでの道のりが、とても長かった。なりたての頃は、右も左もわからず、戸惑うばかりだった。 刑事には、それぞれ階級がある。最初はみんな同じで、巡査からである。 僕は巡査から巡査部長、そして警部補までのし上がることができた。 キャリア組はすぐ警部まで行ったりするが、如何せんノンキャリアである。 それため、警部補までなるのに五年もかかった。 僕はまだ二十代だ。二十代で警部補は数人しかいないため、ほとんどが三~四十代だ。 最初は馴染めなかった。同年代の連中がいたおかげで、今は普通に馴染めている。 ベッドから下り、着替えを済ませる。 適当に朝食を作り、テーブルに置く。 テレビをつけ、いつも観ている『おはようテレビ』にチャンネルを回す。 教師が生徒にわいせつ行為をして捕まったニュース、政治のニュースなど映し出されている。 「今日未明、二十代と思われる女性が何者かによって刺され意識不明の重体です。犯人は未だ見つからず、逃走中とのことです。続いてのニュースはー」 「世の中、物騒になったなあ」 コーヒーを飲みながら呟いた。
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