プロローグ

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その間、スピードオーバーにならないように気をつけた。 警察の人間がスピード違反したとなると、洒落にならない。 車を駐車場に止め、自分の部署までエベレーターで行く。所属している部は、殺人犯捜査第一係に所属している。 出勤している人はいたが、まばらである。自分のデスクに鞄を置き、椅子に腰かける。 すると一本の電話が鳴った。事件かと思い、受話器を取った。 「こちら殺人犯捜査第一係です」 いつものように決まり文句を言う。 「君が、生島裕太郎くんかね?」 電話の相手は僕に訊いた。声が低く、四~五十代ぐらいだ。 「はい、そうですけど…。失礼ですが、どなたですか?」 「すまないね、まだ名乗ってなかったね。藤波と言うものだよ」 藤波?どっかで訊いたことあるような、ないような。 今ひとつ、ピンと来ていなかった。考えていると、電話の向こうで笑い声が聞こえた。 「…どうかしたんですか?」 不思議に思って、質問をした。 「すまんすまん。私の声を聞いても、わからないかい?」 そう言われて少し考えると、ある人物が浮かんできた。 まさかと思う反面、違う人であってほしいと願う。
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