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それでも、『あの人』だという気持ちが膨らむ。
「も、もしかして警視総監ですか!?」
「いかにも」
つっかえてしまったが、しょうがない。肯定され、一気に心臓がバクバクし始めた。いきなり偉い人からの電話で、驚愕しない人はいないと思う。
「え…えっと、どういったご用件でしょうか?」
おずおずと藤波に訊いた。
まさか、警視総監直々に電話をかけてくるとは思わなかった。
「そうだね、周りに人はいないかね?」
「数名いますけど、まだ出勤してない人が多いです…」
状況を見たまま伝える。
「大勢いたら来てもらおうと思っていたが、まばらならば電話で済ました方が早いね」
「は、はあ…」
何とも言えない感じで生返事をした。
「用件って言うより頼み事かな?監視とまではいかないが、私の愛娘を見てもらいたいんだ」
無理にとは言わない、と言われ僕は迷った。
「……理由をお聞きしてもいいですか?」
偉い人と言っても理由もなしに引き受けるは、何だか気が引ける。
「理由がないと困るしな、一度しか言わないからよく訊いてくれ」
「はい!」
意外と大きい声で返事をしてしまった。条件反射で周りをきょろきょろしたのは内緒だ。
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