Scene.1 -古びた人形-

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綺麗に手入れされた盆栽たちを横目に見ながら、屋敷の奥にある離れへ向かう。 ふと、頬に冷たい滴が当たった。 空を見上げると、頭上の灰色はさっきよりも更に濃くなっている。 「雨……かぁ。」 立ち止まり空を見上げたまま、ぽつり、ぽつりと降ってくる雨粒に目を凝らした。 ―――まるで、泣いているみたい。 鈍色に染まった雨雲の空を、切なく荒んだ自分の心と照らし合わせる私。
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