Scene.1 -古びた人形-

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縁側に掛け、小さく溜め息を吐く。 本当は、私だって静にぃの事は言えない。 お腹が空けば仏壇に手を合わせ、自己中心的な解釈によってお菓子を頂く事がある。 手癖の悪さは、きっと静にぃに似た。 時々丈太郎おじいちゃんに見つかって、ガミガミと大目玉を喰らう事もしばしばだもの。 「ふぅ~……。」 強い雨が、目の前の視界に簾を掛ける。 靴を脱いだ私は、雨戸を閉め、人形を抱いたまま自分の部屋に向かった。
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