Scene.1 -古びた人形-

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母屋よりは格段に小さいけど、この離れの家屋だってそこそこの大きさだ。 1人ぼっちで過ごすには広すぎる。 それでもいつかお父さんが帰って来る日まで、私はここで待っていなければならない。 床に張られた板は、しょっちゅうギシギシと不気味な音を立てる。 昭和の時代に建てられたこの家。 戦後の復興と共に増築されたはずのこの離れも、今ではだいぶ老朽化が進んでいるようだ。 それでも主が弱れば、この古い家屋を建て直す事さえできない。
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