少年の足取り

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 時間帯からして、少年が朝食のための食材を買っていると判断できる。  しかし普通の主婦であれば、朝の食材など前の日までには買っておくものだ。  ならば何故、少年はこんな朝早くから大量の食材を買い込んでいるのか?  それは、少年が夢の中で神のお告げを聞いたである。  ────なんてことは一切ない。  本当は、習慣になっているから、である。   数分後、野菜を選び終えて完全に怠そうな目付きの少年は、次のエリアへと向かった。  更なる食材を求めて。  それは何か。   料理に必要なモノ。  塩やコショウなどの調味料は、すぐに使いきることがないので買わないとして、野菜や肉は必須である。  そう、"野菜"や"肉"だ。  つまり少年は"野菜"エリアの次にに"肉"エリアへ足を踏み入れたのである。   エリア内に並んでいる肉を見た瞬間、再び少年の目が鋭くなった。野菜を見る目よりも鋭いかもしれない。  様々な種類の肉を睨み付け、野菜の時と同じように────いや、それよりも素早く、鮮度と値段を把握し、気に入ったらかごに入れていく。  普通の主婦であればもっとゆっくり選ぶだろう。だが、普通の主婦よりも的確な判断を下している。
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