少年の足取り

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 欲しいブツを全てかごに入れ終えた少年は、レジへと向かった。そこは商品と金を交換する場所である。  少年はかごを2つ、台に上げた。  するとレジの店員が驚いた表情になる。 「お客さん、凄いですね。こんなに買うなんて」 「......、......」  少年は何かを応えようとして、やめた。  店員の女性が驚くのも無理はない。何しろ2つのかごには、野菜や肉が溢れんばかりに積まれているのだから。  いや、溢れている。さっき肉のパックが一つ落ちた。 「......もしかして、新入りの人?」   気になった少年が怠そうに訊くと、女性は再び驚いた。 「なっ、何で分かったんですか?」 「......いや、何でもない。早く会計して」 「あ、すいません」  自分で聞いておいて、自分が納得すれば相手には説明しないという、なんとも失礼な少年である。   そんな少年は女性が野菜&肉の会計をしている間に辺りを見回した。  怠そうな目をした少年を見る目が、複数。  他のレジの店員、並びにそこらにいる店員のものだ。
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