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少年を見るその店員たちは、畏怖の目をしていた。
何せこの少年、この店で1ヶ月に1度は大量に野菜や肉を買い込むのだ。今回のように。
それに加えて、毎朝たくさんの食材を買ってくれる。
少年の買い上げが、売り上げの10分の1近くを占めているほどだ。
少年がいてくれてこその売り上げに、店の者には崇められているというわけである。
つまりその事を理解していない店員は、まだ入って間もないと言える。
少年自身も、この店で自分が特別視されていることは理解しているため、女性が新入りだと分かったのだ。
数分かかって、ようやく値段が表示された。
それが通常では考えられないほど高値であり、女性がまたもや驚いた。
しかし少年は澄ました顔で値段ピッタリの金を出した。
こうして少年は金と引き換えに大量の食材を手に入れた。
店を出ていく時も何人かの店員に仰々しくお辞儀をされた。
少年は背負っている巨大なリュックサックに全てを入れている。
エコなマイバッグだ。
何もかもが怠いと思っていそうな表情で、何キログラムあるか分からないリュックサックを背負い、真っ直ぐな道を歩いていく。
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