57人が本棚に入れています
本棚に追加
天井には蜘蛛の巣がいくつもある。当然、その上では蜘蛛たちが蠢いていた。
ほとんどの蜘蛛の体の色は、オレンジと黒のシマシマ。毒蜘蛛だ。
蜘蛛たちの中には天井から糸でぶら下がっている奴もいるので、普通に歩いていても危険だ。
しかし少年は毒虫を気にする様子も無く、廃墟の中を進んでいった。
1つの部屋に入ると、少年は本棚に近づき、白い背表紙の本を"押した"。
すると本棚の下の方でカチッと小さな音がした。
少年は本棚の下の段にある、無駄に大きい本を何冊か引き抜き、床に置いた。
本が抜かれた場所には、あるビニールのような物が本棚の奥に貼ってあった。
張られてあるビニールのような物体は、壊れやすい物を入れる時に使ったり、一部の人間がビニールを指で弄ったりする物だ。
そう、それは、指でプチプチと潰すと気持ちのいい、アレである。
少年の目の前にあるそのプチプチは、1部、潰れていた。
"コ"の字になって。
そんなプチプチを、少年が狙いを定めて人差し指で1粒押した。
ここまで見た者は、勘違いをするかもしれない。
少年が、1日に1粒だけ押して文字を作っているのだろう、と。
最初のコメントを投稿しよう!