少年の足取り

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 天井には蜘蛛の巣がいくつもある。当然、その上では蜘蛛たちが蠢いていた。   ほとんどの蜘蛛の体の色は、オレンジと黒のシマシマ。毒蜘蛛だ。  蜘蛛たちの中には天井から糸でぶら下がっている奴もいるので、普通に歩いていても危険だ。  しかし少年は毒虫を気にする様子も無く、廃墟の中を進んでいった。  1つの部屋に入ると、少年は本棚に近づき、白い背表紙の本を"押した"。   すると本棚の下の方でカチッと小さな音がした。  少年は本棚の下の段にある、無駄に大きい本を何冊か引き抜き、床に置いた。  本が抜かれた場所には、あるビニールのような物が本棚の奥に貼ってあった。  張られてあるビニールのような物体は、壊れやすい物を入れる時に使ったり、一部の人間がビニールを指で弄ったりする物だ。  そう、それは、指でプチプチと潰すと気持ちのいい、アレである。  少年の目の前にあるそのプチプチは、1部、潰れていた。  "コ"の字になって。  そんなプチプチを、少年が狙いを定めて人差し指で1粒押した。  ここまで見た者は、勘違いをするかもしれない。  少年が、1日に1粒だけ押して文字を作っているのだろう、と。
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