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だがそれはそれは違う。
この少年は決してそんな訳の分からないことをする人間ではない。
それよりも少しはまともなはずだ。
現に、少年の人差し指によって一粒潰されて、変化が起こった。
本棚の奥の1部がカポッと手前に動き、右に避けたのだ。
その先には金庫についていそうな、電子機器が存在している。横には少年のリュックサックより少し小さいくらいの扉。
扉を開かせるために電子機器がある、ということだ。
機械はなんと、12桁の数字を打たないといけない代物だ。
そんな物を簡単に開けると、少年はリュックを無理やり扉の向こうに押しやり、自分も入っていった。
足から。
下半身が向こう側に入ると、少年は床に置いてあった分厚い本を本棚に戻していった。
もといた場所から見れば、少年が扉を通る前と変わりはない。
床に積もっていた埃の場所は変わったが。
それ以外は変わったことなどない。
隠し扉があるなんて、誰も気付かないだろう。
今更ながら、少年が通ったのは隠し扉だ。
だから本やプチプチを押したり、通常ならお目にかかれない、金庫についていそうなものを弄っていたりしていたのである。
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