2人が本棚に入れています
本棚に追加
「はぁ~」
『何を溜め息などついている』
「うわっ!なんだぁ紅蓮か、脅かすなよ」
『連太郎…』
紅蓮が大きな溜め息をつくと、周りの木々がサワサワと揺れた
「なんだよ」
『お前、我は式だぞ、いい加減慣れろ、毎回毎回俺を見てビビってどうする、だいたいだなお前は、あっ!待てコラ!連太郎!』
俺は毎朝、この紅蓮に脅かされている
『まったく、良いか連太郎、お前は仮にも陰陽の血を引く者なのだぞ』
俺の足下をチョロチョロと動き回りながら説教するのが紅蓮の日課になっていた
「俺は跡を継ぐつもりはないよ」
田舎の農道を歩きながら、俺は溜め息混じりに言った
『戯け!お前は妖力が桁外れなのだ、良いか連太郎、陰陽の術を覚え身を守るすべを身に付けねば、お前は死んでしまうのだぞ』
トクン……
分かってるよ、そんな事言われなくったって…
父親の話しでは、妖力の強い俺は妖、つまり妖怪に狙われるらしい
俺の家は代々続く神社の神主をしている
父親は神主の仕事の他に陰陽師をしている、時折、京に呼ばれたり結構忙しい
母親は……
知らない…
最初のコメントを投稿しよう!