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『連太郎…』
誰?……
『連太郎…』
優しい声……
『気味の悪いヤツ』
『あっち行け、お前なんかと遊ぶわけないじゃん』
「…太郎、連太郎!」
!!
「牧田?…」
「良かったぁ、いきなり倒れたから焦ったよ」
あ…
そっと窓に視線を移すと
紅蓮が睨んでいた
『ったく、情けない』
「別に妖を見て倒れた訳じゃないよ」
下校途中、散々紅蓮に愚痴られた
『もうすぐ満月だ、引き込まれるなよ』
「大丈夫だよ、封じの札もあるし呪符も覚えたから」
満月は妖の力が増すと言われ、俺の妖力も増すらしい
やれやれ
「はぁ~」
『溜め息をつきたいのはこっちだ』
紅蓮がブツブツと文句を言うのも何時もの事だった
『人の子…』
!!
『人の子だ…』
何か来る!
『連太郎!』
紅蓮が元の姿に戻る、紅蓮は九尾と言う狐の妖だ
『連太郎!鳥居まで走れ!』
自宅までは、ほんのわずかな距離
の筈だった
ザザァァッ!
「うわっ!」
『連太郎!護符だ!』
「ご…護符、護符あれ?」
無い!
今朝確かにポケットに入れたのに
『何をしている!』
紅蓮が俺の前に庇うように立つと
『よこせ人の子』
現れたのは
「なっ!」
子供?
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