第1章

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5~6歳位の子供が手を出していた 『腹が減った、何かよこせ人の子』 「は?ええっ!」 『おぬし連太郎であろう?東條 連太郎』 「あ…ああ」 頭には小さな角が1本あった 『ワシはテンじゃ』 テンと名乗った妖は、帰りに買ったパンを美味しそうに頬張っている 『何をしに来たテン』 紅蓮が首を掻きながら言うと 『招待状を持って来たのだ』 と、懐から一枚の紙を出して言った 『今週の土曜日じゃ、小池森で花見をするのじゃ、孝太郎の式も呼んである』 孝太郎とは、俺の父親の名だ 『土曜日なら連太郎も来れると思ってな』 テンは無邪気な笑顔で言って来る 『連太郎は行かぬ』 紅蓮… 『その日は満月、孝太郎に外出を禁じられておる』 外出を禁じられてたっけ? 『そっか…残念じゃの…楓も来るのに』 「楓?」 『テン!』 『あ…そうじゃ、ワシ用事があったのじゃった、連太郎ごちそうさまでした』 テンは律儀にお辞儀をすると林の中に消えて行った 「なぁ楓って?」 『お前には関係ない、ったく孝太郎は何を考えてるのだ』 紅蓮がまたブツブツと言い出したので、俺はそれ以上聞くのをやめた
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