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5~6歳位の子供が手を出していた
『腹が減った、何かよこせ人の子』
「は?ええっ!」
『おぬし連太郎であろう?東條 連太郎』
「あ…ああ」
頭には小さな角が1本あった
『ワシはテンじゃ』
テンと名乗った妖は、帰りに買ったパンを美味しそうに頬張っている
『何をしに来たテン』
紅蓮が首を掻きながら言うと
『招待状を持って来たのだ』
と、懐から一枚の紙を出して言った
『今週の土曜日じゃ、小池森で花見をするのじゃ、孝太郎の式も呼んである』
孝太郎とは、俺の父親の名だ
『土曜日なら連太郎も来れると思ってな』
テンは無邪気な笑顔で言って来る
『連太郎は行かぬ』
紅蓮…
『その日は満月、孝太郎に外出を禁じられておる』
外出を禁じられてたっけ?
『そっか…残念じゃの…楓も来るのに』
「楓?」
『テン!』
『あ…そうじゃ、ワシ用事があったのじゃった、連太郎ごちそうさまでした』
テンは律儀にお辞儀をすると林の中に消えて行った
「なぁ楓って?」
『お前には関係ない、ったく孝太郎は何を考えてるのだ』
紅蓮がまたブツブツと言い出したので、俺はそれ以上聞くのをやめた
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