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小さな池のほとりには、桜の木が一本満開に咲いていた
ハラハラと花びらが舞い美しい景色だ
池の水は清められたように澄み切り月を映していた
『連太郎!』
テンが現れ走って来る
あ、コケた
テンは思いっきり前のめりにコケた
「大丈夫か?」
『うん!えへへ』
『若!』
振り返ると式達が驚いた顔をしていた
『遅いのぉ紅蓮は』
『どこぞでヘソを曲げとるのだろう、もうすぐ楓様がお越しになるのに』
チリーン…
澄んだ鈴の音に見ると、池の水面に誰かが居た
『楓様じゃ!楓様ぁ!』
妖達が手を振る
『連太郎、行って来い、我ら妖は今宵の池には近付けんのだ』
式達に促され、俺は池のほとりに立った
『連太郎…』
この声、確か夢で聞いた
バシッ!
「って!」
突然頭を叩かれた
『連太郎、母親を見て気絶するとは何と情けない』
え?はぁ??!!
そうだ、あの時俺は抱き付かれて…
「いや…妖が襲って来たのかと…」
頭を撫でながら言うと
『ふふ…大きくなって』
ふわぁ……
!!
ああ、暖かい…
この時俺は、初めて妖力があって良かったと思った
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