2人が本棚に入れています
本棚に追加
花見には続々と妖達が集まって来た
『楓様、お久しぶりでございます』
『人とは何と短いのだ!』
『楓様、留まれぬのですか』
妖達が、眼に涙を浮かべ言う
『留まれば私はまぎれなく悪鬼になってしまうでしょう』
母さんが悪鬼に?
『楓、我がお前を悪鬼にはさせぬ』
紅蓮…
『紅蓮、ありがとう、でも私は人間、妖にはなれぬのです』
ああ、そうか…
紅蓮や他の妖達は、母さんとずっと一緒に居たかったんだ
『連太郎、いらっしゃい』
俺がそばに行くと
『連太郎、これから沢山辛い事や悲しい事があっても、信念を曲げず貴方の思う道を進みなさい、母さんは何時も貴方を見守っています』
母さん…
何かが溢れるように涙が止まらなかった
『楓様』
『楓!』
『そろそろ刻限です』
「母さん!」
母さんは水面を滑るように歩き池の中央に行くと
一度振り返り笑顔で消えて行った
母さん…
『さぁ酒盛りだ!』
『連太郎、何をしている』
何って、お前達さっきまで泣いてなかったか?
最初のコメントを投稿しよう!