第2章 勝又誠司 1

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『残り十………八……七……六……』 刻々とカウントダウンが減っていく。 『名前当て』開始から、倉梨は一度も口を開いていない。 目を閉じたまま、動かない。 『三……二……一………ゼロ。 制限時間内に回答を確認できませんでした。 これにて第一回「名前当て」を終了します。次回は八月六日、正午に行います』 ピビッ、と。 短い電子音とともに画面から明かりが消える。 「ふぅ。やっと終わりましたね」 大きな溜息をつきながら、倉梨が目を開いた。 「危うく寝ちゃうところでした」 「なんで何も言わなかったんだ?」 倉梨の言葉を無視して問う。 「質問すれば少なからず俺の情報はわかる。そしたら俺が誰かも特定しやすい。 そのための『名前当て』だ。 それなのに何故黙ってた?」 「……えっと…」 「こんな状況、お前だって早く抜け出したいだろ。 それともなんだ。なにか言えば俺が暴力を振るうとでも思ったか?」
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