第1章 江山藍都 1

3/14
13142人が本棚に入れています
本棚に追加
/442ページ
なにが正しくてどれが間違っているかなんて、僕にはわからない。 わかったところで、それはきっと自己満足に過ぎないのだろう。 僕に限らず、誰もがきっとそうだ。 自分の中で答えを出して、行動に移す。 戦争は正しくないと言われても飽きることなく世界のあちこちで行われているし。 不平等は間違いだと訴えても、世界はたいして動かない。 頭の中では。 少なくとも社会通念として善悪がはっきりしているにもかかわらず。 人は変わらない。 言葉と行動は一致しない。 いじめをするもしないも。 いじめを見逃すも見逃さないも。 でも多分彼らは、そんなことすら考えないだろう。 正しいから動くんじゃない。 間違ってるからやらないんじゃない。 それ以前の問題だ。 彼らは快楽を求めている。 つまりは自分の都合なんだ。 だから僕も考えないことにしよう。 かつて自分の状況を「理不尽」だと感じ、彼らは間違っていると思い込んでいた僕だけれど。 彼らを見習って、ただ快楽を求めることに没頭するとしよう。 僕は、そういう世界に生きているのだから。
/442ページ

最初のコメントを投稿しよう!