第4章 原川 1

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「始まったねぇ」 「始まったな」 「始まりましたね」 俺の言葉に、新村、長峰ちゃんが続く。 一階のロビー。 三人ともソファーに腰を下ろしている。 ロウテーブルを挟み、新村が煙草をふかし始めた。 俺の隣の長峰ちゃんは背筋を伸ばし、きっちりとした姿勢で座っている。 モニターなどがあるわけではないので、現在のゲームの進行状況は分からない。 「あの、私と原川さんは参加者の用紙を取りに行くんですけど………。 なんで、新村さんがここにいるんですか?」 「いちゃ悪いか?」 新村は広々と両腕を広げ、天井を仰ぎ見たまま答える。 「出ましたよ。 理由を聞いてるのに、質問に答えず質問で返してくるやつ。 しかもそう来たら『別に悪くはないですけど』としか返せないじゃないですか」 いや、そんなことはないと思うんだけど。 声には出さずの心の中でぼそっと呟く。 まあ、言いたいことはわからないでもない。
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