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「野城くん!!野城くんなの!!?」
奈央子は そう言いながら、両手で口を押さえた。
ルナは「まさか」という表情で、奈央子を勢いよく振り向いた。
しかし彼の服を見て、野城だと分かったのだろう。
今朝、シーサイド・ガーデンで会った時と同じ格好だと言うことを。
「う………」と、野城が反応する。
「野城くん!!」
叫ぶ奈央子。
「太田さん…。あぁ、無事だったのか」
小さな声が、ドアの向こうから返ってくる。
ルナは震え声ながらも冷静な声で「充さん、ドアが開かないですわ」と言うと、野城が少しだけ身体を動かした。
うつ伏せのまま、数十センチほど、もぞもぞと奥に移動するのが、二人にも気配でわかった。
ルナがゆっくりとドアを押す。
全開とまでは いかないが、奈央子とルナの身体が入れる位の隙間ができた。
その隙間から奈央子が急いで部屋の中に入り、続けてルナが入る。
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