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酔客のためのつまみやら酒やらを買い込んでコンビニを出ると、雨はまだ降っていた。
しかもこういう時に限ってコンビニの傘は残らず売り切れており、一本もないという甚だ役に立たない状態にあった。
さっきより雨脚が強まっているようにも見えるが、ここは覚悟を決めてずぶ濡れになってやろうじゃないか。
そう心を決めてフードをかぶり、小走りで家に向かおうとしたところに、ずい、と傘が差し出された。見ると、さっき僕が貸した青い蛇の目である。
「あの、これ……お気持ちだけで結構ですから」
そう言って上げた顔は僕と同じくらいと見えて、可愛くはあるが妙に傷だらけである。下を見れば、白い旅行鞄が置かれていた。
なるほど、そういうことか。
「良かったら、家に来ませんか? 傷の手当とか、した方が良いでしょう」
バケツをひっくり返したような雨は、留まるところを知らず止む気配もない。いくら少し大きめの傘を持ってきたとはいっても、二人で入れば肩も濡れる。 くっつこうにも知らない人だし、元々広めのパーソナルスペースが邪魔をしてそう近づくことが出来ない。
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