”業刹”、新兵衛と澄に接触す

5/7

22人が本棚に入れています
本棚に追加
/91ページ
「ねーむーくーなーいー」 「ほら見ろ。だから無理しなくていいって言ったんだ」 「違うもん。まだ眠くないだけだもん。私、ちゃんと眠れるもんっ」 「あーそーかよ。んじゃ、そろそろ本気出してくれないか? 全力で目を瞑ってれば、そのうち眠れるかも知れないし」 「嘘ですっ。私、騙されないですよっ」 「人聞きの悪いこと言うなよ。いいか。眠るには、まず目を閉じないと始まらない。だろ?」 「う。それはそうですけどっ」 「じゃあ頑張れ。俺は寝る」 「あー! 待って待って、しんべー! そうだ! お話しましょうよっ! 話してるうちに眠くなること間違いなしですからっ!」 「話? だってお前、何を聞いても分かりませんって言うじゃんか」 「うっ。それは、その……。そ、そうですっ。新兵衛のことを知りたいですっ。新兵衛のこと、何か話して欲しいですっ」 「ねーよ、別に。俺、ずっとのんびり平和に暮らしてきたし」 「え~? あ、じゃあ、私がお伽噺をしてあげますっ。これで新兵衛もぐっすりですっ」 「いや、お前が黙っててくれればそれでぐっすりなんだけど」 「じゃあ行きますよっ。私、これでも創作話は得意なんですからっ」 「無視かよ。そして、今から作るのかよ……。あー、もー、分かったからちゃっちゃと話してもう寝ろよ」
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加