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「うわー。なんか威張ってますっ。顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃなのにっ。可愛いちびっ子姫ですねっ、しんべー」
「そうか? 俺には生意気な子供にしか見えないけど」
「無礼もにょ。生意気なのはそちの方じゃ。うちは星姫なのじゃ頭が高いのじゃ早く土下座するのじゃあ」
「星姫ね。頭が高いとか言われても、お前より低くしようと思ったら、頭を地面にめり込ませないと無理なんだが」
「ならばすぐにめり込ませるのじゃ。地面に足しか出ないくらいの勢いでめり込ませても苦しゅうない」
「無茶言うやつだな。どんだけ恐れ入ればそこまですることになるんだよ? それ、お前は苦しゅうないかも知れないが、こっちは死ぬほど苦しいぞ。それより、お前が立てばいいだろ? いつまで寝転んでやがんだよ。あれか? 猫と一緒で、お腹撫でで欲しいってことか?」
「お腹を? 姫、そのお役目は是非拙者に!」
「ぎにゃあああ。そちは触るなと言うておるのじゃあ。なんだか気持ちが悪いのじゃあ」
「ばあさん? メシはどこじゃの、ばあさん?」
「ギュオオ……」
「なんだか収拾がつかなくなってきたのですっ。新兵衛、そろそろこの状況をなんとかしないと、もう日が暮れてしまうのですっ」
「だな。まずは翠玉をなんとかするか。団子の落とし前は、その後つけてもらうとしよう」
新兵衛は星姫と侍、じじいを順番に見たあとで顔を上げた。そして、翠玉に向かって手を差し伸べた。
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