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――と、いうよりも、返す気にもなれなかった。
「ゴルフ。行くんじゃなかった?ぎっくり腰のお父さんと」
壁に背中を預けて腕を組み、見下ろす先には、キッチンのフローリングに座り込んで、大きなダンボール箱の中を漁る神崎くん。
「そうだね」
「ドクターストップかかってるのに?ていうか、そもそも約束なんて」
「あ。見て、雛森、この片手鍋。赤い色で可愛いね。持ち手が木で温かみがあるし。ベッドもカーテンも真っ白で、病院みたいに殺風景なこの部屋にはピッタリだよね」
「……」
私の言葉を遮ると、ダンボールから取り出した赤い鍋を見せ、話を変えた。
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