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しかし女は何も言わず再び座布団に顔を埋める。やれやれと諦めた男は、「勝手に上がるぞ」と言い部屋に踏み入り、先程まで政井が座っていた場所に陣取った。
「....何しに来たのよ。
用なんかないでしょ、帰って」
女は顔すら上げず、座布団に向かいモゴモゴと話す。いい加減にしろと男が女の尻を強めにはたくと、「セクハラッ!」と漸く顔を上げた。
「偶に顔見せりゃ邪魔者扱いかよ。
ったく、お前は全然変わってねぇな。
調子はどうだ? ....って聞くまでもね
ぇか」
男は荷物を小さなテーブルに置くと、勝手に戸棚を開けカップを二つ取り出す。「ちゃんと洗えよ」と一つ吹くと、一切迷いもなくそれをテーブルに並べた。
「何よ、また説教でもしに来たの!?
はいはいはいはい、どうせ私はダメです
よ。植松大先生の足元にも及びません、
ごめんなさい、反省してます!
これでいい!?
ほら、さっさと帰りなさいよ」
しかし男は気にする素振りもなくビニール袋から取り出した弁当を開けるとそれを食べ始める。小さく美味いと呟くと、「食う?」とそれを女に差し出した。
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