第1章

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 マンションを出た所で志田さんが立ち止まり、俺をじっと見てきた。  「志田さん?どうしたんすか?」  まさかやっぱり家に入って欲しくなかったとか!?  内心ドキドキしながら志田さんの返事を待っていたら意外な一言が。  「すまなかった。」  へ?  「あの…謝るのは俺の方じゃ…?」  何がすまなかったんだろ?  志田さんは相変わらずな顔でしばらく地面を見つめた後ポツポツと話し始めた。  「”どうして”の答えは俺もわからないんだ。」  なんで謝ったか自分でもわかんないってことか?  「志田さんは何も悪くないっす。謝らないで下さい。」  「いや…振り回した。」  何が言いたいのかよくわかんないけど志田さんがもやっとしてるなら。  「じゃあまた今度うまいコーヒー飲ませて欲しいっす。晩飯もすっげぇ旨かったんで大丈夫っすよ。」  にっと笑って答えると何故か志田さんは溜め息ついて歩き出した。  やっべぇ…調子乗ったかも…  「何が食べたい?」  「えっ?」  「次に来た時。準備する。」   良かった!怒ってなかった!  「旨いもんなら何でも!あっ!志田さんの得意なやつがいいっす!」  「わかった。」  志田さんって怖そうに見えるだけで良い人なんだよな~!  忘れないようにしよう!  志田さんはお母さん!
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