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メイコとは出会って2年になる。某SNSのメンヘラサークルの中にメイコはいて、そこに新入りとして挨拶を書き込んだ僕に、一番に挨拶を返してくれたのがメイコだった。そしてそこでのやり取りの中で妙に気があった僕達は、次第にそのSNS内のショートメールで二人だけで言葉を交わすことが多くなり、そのうちに同じ県庁所在地に住んでいるという事もあって、僕の方からメイコにラインIDをおしえ、言ってみればありがちな出会いで、そしてありがちな初対面を通過して、ありがちなデートを繰り返すようになったのだった。
だがそのメイコと連絡がつかない。こんなことは今までになかった。なぜなら二人共仕事をしていなかったのだから、連絡がつかない時間などほとんど無く、2人一緒にいない時でも、文字通りおはようからおやすみまで、毎日こまめなやり取りを繰り返していた。だから僕はまたスマホを乱暴に手に取ると「調子わるかったりしてるのかな?」と、もはや少し未練たらしく感じられてもきた言葉を書き込んで、そして書き込んだ瞬間に後悔して、またスマホを少し乱暴にコタツの上に置き、そしてそれと同時に鳴ったインターフォンに少しビクリとして玄関の方に視線をむけた。
その時に僕が考えたのはこのインターフォンの音は現実のものだろうか?ということだった。メイコを除けばほとんど天涯孤独に生活している僕の部屋のインターフォンを鳴らすのは、NHKの集金とアマゾンで注文した商品を着払いで配達する宅配便、そしてあとは玄関を乱暴にガンガンと殴りつけたあとでインターフォンを連打する、僕の脳がつくりだしたタチが悪い上に透明な誰かだけだった。なので僕はそれを無視することにした。その時の僕は通販で注文している物もなかったし、NHKならば受信料を一切払うつもりもなく、それが幻聴ならば余計に寒い思いをして誰もいない玄関先をのぞいてみる気にはなれなかった。だがしかし。
「柳浦さーん宅配便でーす!!」
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