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「おはようございまーす……」
駅で無料配布の住宅情報誌を片手に出勤
…………ﾁﾗﾘ
啓介は既に出勤している
代休はとっていないらしい……
けど……
デスクにいない
「遠ちゃん、おはよ……」
声をかけてきたのは
派遣の武井さん
女子が少ないフロアーで
唯一、同い年なので仲良くしている
ねぇ……ねぇ……って……
デスクの下に
隠れるようにしゃがみ込み
引っ張るから
私もしゃがむ
「どーしたの？」
もちろん小声で……
「企画部行くの？」
「なんで、武ちゃんが知ってるの？
私、それ聞いたの……土……ｲﾔ……金曜日だよ？
しかも、『どうかな？』的な打診だけで……」
「企画部の嶋田主任が退職するらしいよ……？
私も聞いたの金曜日だよ
たまたま
帰りのエレベーターで……
部長が嶋田さんの後任探しをしてる
……って話を聞いて
遠ちゃんの名前が出てたから……」
…………嶋田主任
元は総務にいて
入社当時、私は嶋田さんによくお世話になった……
面倒見のいい優しい先輩
「コトブキ？」
「わかんない
でも企画部……
別に盛り上がりもなく静かだったよ？
遠ちゃん、三年目だし
嶋田さんのデスクに行くんじゃないの？」
啓介の言ってた話は本当だったんだ
「遠藤さん、いる～～？」
部長の声だ！
「ごめん、続きはあとで……
…………はーーーい！！」
立ち上がりスカートを直す
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