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仕事まで啓介に持っていかれ する事なくなったので 珍しく定時に退社 「寒っむぅ~~……」 今朝、武ちゃんと話ながら外した手袋 デスクの上に置きっぱなしだ コートのポケットに手を入れる …………ジャリ …………ん? 取り出して見ると…… ブタちゃんのハンカチ あっ…… 昨日、拾った貝殻だ…… ハンカチを握りしめたまま立ち止まる ブレスレットに手が伸びて 無意識で撫でる 急にイライラが鎮まって 肩の力が脱け落ちる 姿は見えなくても ブタちゃんのベールで 全身を守られてるみたいな感覚 滝沢さんが啓介に 甘える姿が頭の中を横切っていく ねぇ……ブタちゃん…… 今ね…… ブタちゃんに会いたい……って思ったの そしたら…… 会ってくれるでしょ? 優しくしてくれるでしょ? 笑わしてくれるでしょ? …………ジワッ 私も滝沢さんみたいに甘えたい ゴメン…… ウソだよ…… 私って、ズルい女なんだよ 今の私…… 優しくしてくれるなら きっと誰でもいいンだ そんな誰でもいい相手に ブタちゃんを選ぼうとしてしまったことが…… また別のイライラを産んでしまった この気持ちが まだ啓介に向いているのがわかるから 中途半端な気持ちで会ったら 自分もブタちゃんを傷つくだけ …………グズッ でも……会いたい…… ブタちゃんと同じ空気が吸いたい 貝殻の入ったハンカチで涙を拭くと…… 「泣いても そのアイラインは溶けないから 大丈夫だよ?」 ……………………えっ?!
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