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この壁の 亀裂をさがしたり 抜け穴をさがしたり 長い梯子を立て掛けたり 色々と案を出してみたけど…… ツルは俺の女 そんなの探すために 自分の女から 目を逸らしちゃいけない けど、焦ってもいけない この場から動かず 壁を突破するには ………壁を『溶かす』って方法もある ツル……? そんな顔すんなよ 俺を待たせることに気を使うなよ 確約だろ? 少し待てば 必ず俺のツルになるんだろ? てか、ずっと前から俺の女だから…… 俺は、ツルの笑顔が好きなんだ 「風邪だよ……」 「風邪?」 「風邪なら 少しおとなしくしてたら 元気になるだろ? それとおんなじ 今のツルは『啓介菌』による ごく軽い風邪に似た症状 ほっとくと…… 目眩、吐き気、食欲減退…… そのまま精神疾患に陥るから 早く駆除しなきゃマズいぞ?!」 泣いていたツルの瞳が ホッとしたように柔らかくなる 「だね……」 俺はツルを笑わせるの得意だから 「ツルの一番近くで看病するから」
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