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外に出て やっと手を繋ぐのを許され ニギニギ……と、何度も握り直す 予定通り家に向かうため、歩きだすと 「あれ?」 千鶴が踏切をチラリ……と見るが 「…………ん?」 「やっぱ……なんでもないや」 ……と、サクサク歩き出す なんだよ? オートロックの鍵穴にキーを差込み 自動ドアオープン 夢にまで見た玄関が近づく …………早く部屋に入りたい 「ねぇ? こないだの中澤さんと藤井さんなんだけど タクミは仲良しなの?」 玄関を開けながら聞かれた 「中澤さんは向かいのデスクだけど パソコンと書類でバリケードあるし 仕事のグループも違うから話さないな ……藤井さんはこないだ初めて会った子だよ」 昔の俺を取り戻しつつ 誤解されてないことを確認 千鶴のコートとマフラーを受け取りながら 落ち着いた声で返す 「ふーーん……そーなんだ…… さっき踏切に、似た人ッポイ子が 見えたような気がしたような気がしたから……」 スンゲーわかりにくい言い回し 居たらどーしよう…… ……って俺も怖かったけど 自分から見つけちゃう方がもっと怖くて 辺りを見回すことすらしないで 脇目も振らずここに帰ってきたんだよ まさか……居たのかよ?
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