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席を譲り 千鶴の近くに勧める 「あ~~遠藤さん、ホント良かった! 会社には報告したから、心配ないからね?」 「部長……申しわ……」 「だ〜か〜ら〜 遠藤さんは悪くないからね? あーーホント無事で良かったよ」 娘と間違えてるのかも? ……部長がニコニコと話す 千鶴が 『新入社員』から脱皮して 社会人としての責任を ちゃんと果たしてきた結果だ …………アイツら10人と違う 会社は 千鶴を守ってくれる ……と、確信 「葛西くん、金ある? タクシーで帰りなさいよ? ……私の名前で領収書切っていいからね」 「部長は?」 「私、東横線だからこのまま1本だから」 「ありがとうございます お言葉に甘えさせて頂きます ……コレ良かったら奥様とお嬢様に」 試供品を渡し 再び声を殺して笑う 「土日ゆっくり休んでね」 明るい笑顔で帰って行った その部長さんの笑顔が印象的で 千鶴のお父さんと重なる 警察と長々話したあと やーーっと解放 警察は いい加減飽きたよ 「動けるか?」 「……うん」 コートを羽織らせ荷物を持ってやる 「タクミ……?」 「ん?」 「ありがとう」 そのセリフずっと待ってたよ 俺の心に染み渡る 「……俺たちの家に帰ろ?」 「うん」 手を出せば 自然に指が絡まる ギュ………… 良かった…… …………平和を取り戻せた
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