アメシスト

3

『何してンだよ？』

……と、言われても
私だって
何してンだかわかんないよ

返事に困っていたら

『10秒以内に返事しろ』

『10』

『9』

『8』

『7』

『6』

ちょちょちょーーー！
いきなりﾋﾟﾛﾝﾋﾟﾛﾝと音と共に
画面がカウントダウン

な……なんだ？
この強引な誘導は？！

『3』

『2』

あーー待ってーー！！

『必ず連絡するから、少し待って！』

慌てて返事をする

ﾋﾟﾛﾝ…………

『ならさ…………

遅くなってもいい…………

……電話……待ってるから』

…………？

今まで、殺気立っていたのに

…………急に……切ない返事

ブタちゃん……

私……帰りたい……

けど……
啓介に黙って帰るワケにはいかない
ちゃんと話してからじゃないと……

…………彼氏なんだし

あんなに好きだったのに

好きなのは変わらないのに

この部屋が嫌で……嫌で……

……ここで啓介と一緒に居たら

啓介の事まで、嫌になりそう

…………ｶｼｬ

テーブルの上にあるホテルの案内を撮り

『ここにいる……
啓介と話したら帰る』

写真も送信

…………ブタちゃんからの返事は来なかった