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「葛西先生、次は何頼みます?」 塾長の隣に座ったのに ベタベタと近寄られ 話もできないから 千鶴の隣に移動したのに ……宇田川さんも移動してきた 勝手に俺のタバコの箱を開けて クンクン…… 「葛西先生のタバコって いい匂いがしますね~~ 私、この匂い好きーー」 ……それで? 千鶴が学生たちと 楽しく話してる姿を見て…… ……宇田川さんがイヤーーな視線を送る 「お喋りに力注いでないで…… ……その力を授業で活かしてもらいたいですよね」 自分が見えてないの? 棚100段上にあげまくって 「人気取りで困るわ」 オイオイ…… 「塾講師は人気あってなんぼだと思うよ 魅力ある先生じゃないと ヤル気だって出ないんじゃない?」 「それじゃ、成績は上がらないと思いますけど?」 「ヤル気が起きなきゃ上がらないよ キツキツの厳しい授業でやれる子は 塾に来なくても成績は上だよ」 「でも……」 ……と、食い下がる 酒飲みたいんだけどーー? めんどくさくなって ツルと話してる輪に加わると 「簡単に生徒の心掴みますよねー?」 「子供たち、いきなりヤル気満々でしたよ」 「今日は宿題忘れがいなかったです」 フツーのことなのに 新鮮に語られて苦笑い 「ツル先生みたいになるには まだまだかかるから」 ……と、塾長から 「そんなことないですよ 塾の先生って特殊な商売でさ~~」 ツル先生が話を始めた
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