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私の存在って……
こんなにも小さくて……
とてつもなく低くて……
啓介の『彼女』じゃないなんて
…………全然、気付かなかった
好きとか愛してるとか
聞いたことがなかったのは
……そういうこと?
……なのに
間に差し入れた
私の右手をどかし
優しく見つめられ……
「千鶴……愛してるよ……」
その甘い唇から
嘘が溢れてきた
私が聞きたかったのは……
……これじゃない
「もう……これ以上は……ムリ……」
啓介の肩を押し
ソファーから立ち上がる
「いきなりどーしたんだよ?!」
「私……好きな人としかできないから」
「俺のこと……好きだろ?
俺だって、千鶴が好きなんだよ?」
その『好き』の意味がわからない
バッグを掴み
キャリバに向かって歩き出す
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