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小さな海岸
こんなに狭かったんだ……
両側の切り立つ崖と白い波が
視界に飛び込む
背……伸びたな
昔は、チビだったし
この岩の向こうが見えなくて
向こう側の未知なる世界に
ワクワクと心を弾ませ
必死にこの岩を登っていた
先に岩に上がり
…………ツルの手を引く
「せ~~のっ!!」
俺の足元から頭を出したツルが…………
「わぁ~~キレイ………」
その声で
俺も海を振り返る………
あぁ……懐かしい景色だ……
「……ちゃんと掴まってるか?」
ツルを引き上げ
二人で岩に立つ
近くの岩で
波が当たり……白く弾ける……
「迫力あるね……」
「だな……」
夏はもっと穏やかなのに……
ツルを岩に座らせ
先に岩から飛び降りる
「ウワッ~恐いよ……降りれるかな?」
「大丈夫だよ」
俺の両肩を掴ませ……
ツルの腰をゆっくり引き寄せる
「落とさないでよ?」
「おとなしくしてたらな?」
「もぉ~~!」
ゆっくり、ツルを降ろしながら……
目線の高さが同じになり
お互い照れ笑い
「クスッ……
ブタちゃんより背が高いって不思議~~
毎日がこんな景色なんだ~~」
……新しい発見をして喜ぶツル
柑橘系のコロンの匂いが
俺をくすぐる
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