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「平らな岩があってさ……」
二人で
形のイイ貝殻を拾いながら
海岸線を左に歩く
あれだ……ちゃんと残ってた
「ここ……俺の特等席だったんだ」
「へぇ~~不思議ぃ~~
ゴツゴツの岩場なのに
ここだけはスベスベしてるんだ……
ホントに特等席だね~~」
特等席に御招待
黙って波を眺め続け……
ふと……気づく……
「寒いだろ?」
俺はちっとも寒くないんだけど……
ツルが凍えてないか心配になる
冷たい潮風の盾になるように座り直すと
「あったかいよ?」
…………なにが?
無言でツルを見ると
ヘヘヘ……と笑い……
テレながら……
繋いだままでいた手を持ち上げた
ツル……?
その笑顔……反則だよ……
自分が寒くなかった理由がわかり……
そして……顔が緩む……
この二人を繋ぐ温もりで
お互いがお互いを暖めていたことを知り
この手を
離せなくなってしまった
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